管理人
本職は労務系のコンサルタントですが、中年看護師の転職サポートをしたことから、看護系の転職コンサルタント業務もスタートした46歳男性です。
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一般に労働者には二種類の休暇があります。一つは、会社があらかじめ決めている休日(例、土、日、祝日、年末年始休暇、夏季休暇など)と産前産後休暇や育児休暇、介護休暇など法律で規定されている休暇を含めた無給あるいは減給される休暇で、もう一つは労働者の権利として認められている有給の休暇です。
有給休暇は、労働者の勤務年数や勤務日数によって、取得できる日数が違います。半年勤務した時点で年間10日間付与され、その後、1年勤務期間が増えるたびに1日づつ有給休暇も増えていきます。有給休暇は労働者の権利ですから、労働者から有給休暇の申請があった場合は、原則として企業側は有給休暇を与えなければいけません。
看護師の休暇も、一般労働者の休暇と同じです。有給休暇も法律に則り権利としてあります。
具体的には、事前に上長(例えば看護師長)に有給休暇を申請して、休暇を取ることになりますが、繁忙期などで代わりの看護師が手配できないなどの正当な理由がある場合には、病院側が別な日に有給休暇の変更を求めることは可能です。
また、常勤ではないパートの看護師も勤務日数に応じて有給休暇を取ることができます。
しかし、有給休暇は労働者の権利として認められていますが、実態としては、なかなかすべてを消化するのが難しいのが現実です。
それは一般会社員に限らず、看護師も有給を消化するのは厳しい状況です。
特に、人手不足で看護師の少ない病院などは平時でもギリギリの人数で業務をまわしているため、有給の取得すら難しいのです。
労働者の権利ですから、希望するときに申請すれば、原則、有給休暇を取得できるのですが、人数が少ない中でのシフト業務であることがよくわかっているだけに、同僚看護師の負担を増やすことはできないという気遣いから、有給休暇の申請ができないのです。
これが慣行化している病院が多いようで、統計的数字では、けっして表には出てきませんが、看護師の有給消化率は50%以下で、年間一度も有給休暇を取っていない看護師も10%程度はいると言われています。
ですから、転職や退職で職場を離れる場合に、残っている有給休暇をすべて取得しようとしても慣行上許されなかったり、同僚看護師の仕事量が増えるのを気にして、取れないというのが現実です。
有給休暇は権利なので、気にせずに取る、あるいは取りづらい状況ならば労働基準局に相談にいくという手段もありますが、辞め際に揉め事を起こしたくないとか、「立つ鳥あとを濁さず」という日本人的発想から、有給休暇をすべて取る看護師は滅多にいないようです。
こういう看護師の職場の雰囲気が離職率を高めている要因と考えられます。看護師側としては、有給休暇の取りやすい、よりよい待遇や環境を求めて転職先をさがすことになりますし、病院側としては看護師の定着を図るために、ぜひとも改善したい点でもあります。